由来・歴史
きんつばの発祥は江戸時代の京都にあるといわれています。
江戸初期の頃、京都清水坂で、うるち米を練って伸ばした生地に餡を包んで焼いた「焼餠」が作られ流行しますが、これがきんつばの原型とする説が有力です。
きんつばの名前の由来は、刀の刀身と柄をつなぐ「鍔」(つば)にあるといわれています。当時は米粉で生地を焼いていたため、表面に焼き目がつかず、仕上がりが白っぽく銀のように見えていました。
そのため最初は「銀鍔」(ぎんつば)と呼ばれていましたが、後に金色の焼き目がつく小麦粉が生地に使われるようになり、晴れて「金鍔」(きんつば)と称されるようになりました。
形状は、最初は「円形」でしたが、1877年(明治10年)に創業した「紅梅堂」(現・本高砂屋)が、四角いきんつばを発明して以降、‶六面を持つ角きんつば″が主流になります。ただし円形は消滅したわけではなく、全国には現在でも伝統の円形きんつばを作るお店が残っています。
ともかくも江戸時代初期に生まれ、曲折を経て標準を定めたきんつばは、その後日本各地へ広まっていき、多くの日本人に食され、愛され、親しまれ、やがて和菓子を代表する品目の一つになりました。
銀から金へ、円から角へ、呼び名や見た目に関する変遷はありましたが、小豆餡を薄皮に包んで平鍋で焼くシンプルなレシピと上品で豊かな味わいは、江戸の昔も現在もまったく変わりません。
特徴
きんつばは、生菓子の焼き物に属する人気の和菓子です。
粒餡・小麦粉・寒天を主な材料とし、鍋であんこに寒天を加えて煮詰めたあと、バット(トレイ)に流し入れて成型し、固めた具材に水で溶かした小麦粉を周りに付け、六面を焼き上げて完成します。
材料はシンプルですが、一口食べると、なめらかな餡の食感とみずみずしい味わいのハーモニーが絶品です。きんつばは小豆の風味をダイレクトに堪能できるのが特徴の一つ。‶小豆の味はきんつばから教わった″という方も多いかもしれません。
外見は羊羹に似ていますが、きんつばは羊羹のような艶はなく、表面がガサガサしており荒涼としています。重量感のある武骨なルックスという雰囲気です。
一転して小豆餡のつややかさを覗かせる内側とのギャップの見ごたえも含め、きんつばの外見はえもいわれぬ趣と高級感を感じさせます。
他方、バリエーションは豊富です。栗と小豆餡を包んで仕上げた栗きんつばや、胡麻を練りこんだ胡麻きんつば、抹茶入りの生地を使用したものなど、他の和菓子と同様、レシピの可能性は無限大です。
ただし、きんつばは材料がシンプルなだけに、素材の質がおいしさを左右します。その意味では、ごまかしのきかない真剣勝負の和菓子ともいえるでしょう。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
---|---|
分類(製法) | 焼き物 |
主な原材料 | 寒天・粒あん・砂糖・小麦粉 |
利用シーン
上品で高級菓子のイメージが定着しているきんつばは、目上の方や高齢者への贈り物に最適。タイミングが合えば、お客さんが来たときの来客用のお茶請けとして出すのも良いでしょう。自分用のおやつやデザートとしての利用もOKです。
- お土産、贈り物、お返し
- おやつ、お茶請け、来客用和菓子
- 法事、法要、お供え
- エネルギー補給
有名なきんつば
- 榮太樓總本鋪「名代金鍔」(東京都)
- 中田屋「きんつば」(石川県)
- まつしまや「きんつば」(富山県)
- 本高砂屋「髙砂きんつば」(兵庫県)
参考資料
きんつばのレビュー
歴史のある商品や、有名または知る人ぞ知る商品を厳選してレビューしています。
→ トップページへ