由来・歴史
桜餅が誕生したのは、18世紀初頭(江戸時代中期)のとある江戸下町の一角です。
桜の名所で知られる隅田川のほとり(現在の東京墨田区向島)に建つ長命寺の門番をしていた山本新六が、桜の落ち葉を再利用して餅に巻いて売り出したことに由来しています。
なんと、桜餅の出発点は菓子作りではなく、大量に降り積もる落ち葉対策だったのです。
そして、新六の桜餅は思いがけなく好評を得て、どんどん売れていき、向島から全国へと広がっていきました。
新六が創業者となった店(現在も続く「長命寺桜もち」・1717年創業)は人々の注目を集め、山本新六の名も長命寺の門番としてではなく、桜餅の開祖として有名になったのです。
やがて、桜餅はメジャーな餅菓子の一つとなり、作家・淡島寒月(1859~1926)があらわした「梵雲庵雑話(ぼんうんあんざつわ)」によれば、江戸期の食の風物詩にも加えられました。
現在では、関東風(長命寺)と関西風(道明寺)の2種類に大別され、さらに地域によって趣向の異なるさまざまな桜餅が存在しています。
毎年桜の季節になると、菓子店はもちろんスーパーやコンビニなどでも販売され、ネット通販でお取り寄せも可能となりました。
桜餅の原点は落ち葉対策でしたが、結果的には、色といい、香りといい、味といい、全体に心の浮き立つ楽しいお菓子を後世に伝えることになったのです。
特徴
桜餅は、塩漬けした桜の葉をお餅に巻いて食べる春の餅菓子です。
日本人になじみ深い「桜」をテーマに、食紅を使った桜色のお餅と、それを包む香りのよい桜の葉、上品で美しい桜の花のような仕上がりも含めて、全編桜づくしとなっています。
桜餅は生地に餡子を包むのが定番で、餡子の甘みとモチモチしたお餅のコラボが絶品ですが、風味にアクセントを与えているのは桜の葉です。
桜の葉には「クマリン」という香気成分が含まれ、葉っぱを塩漬けにすることで、ほんのりとした好ましい桜の香りを放つようになり、桜餅の味わいを奥深いものにしてくれます。
一方、桜餅には「関東風」と「関西風」の2種類があります。
まず関東風は、小麦粉や白玉粉で作った生地に餡を入れてクレープ状に成形して作るのが特徴です。生地を薄くのばした軽妙な意匠がポイントで、桜の葉を除けば洋菓子のように映ります。
次に関西風の桜餅は、道明寺粉(もち米を原料とする米粉の一種)で作った生地に餡を包み、おはぎのように丸めて作る製法です。道明寺粉の餅には、おにぎりのような「つぶつぶ」があり、いかにもお餅といった風の素朴な顔つきは、洗練した関東風と好対照をなしています。
このように、桜餅は東西で雰囲気が変わりますが、桜色のお餅を塩漬けした桜の葉で巻くスタイルは、どこでも例外なく見られるさくら餅のトレードマークです。
分類や原材料
分類(水分了) | 生菓子 |
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分類(製法) | 餅物・焼き物 |
主な原材料 | 関東:(長命寺)小麦粉・あずき餡・塩漬けの桜の葉 関西:(道明寺)餅米(道明寺粉)あずき餡・塩漬けの桜の葉 |
利用シーン
春のお菓子として人気のある桜餅は、早春の2月〜春爛漫の4月の季節に菓子店やスーパーで販売されています。日常のおやつから行事食、ギフトまで多目的ですが、賞味期限が短いため、なるべく早めに食べるのが美味しく味わうためのポイントです。
- おやつ、デザート
- 茶会のお菓子
- ひな祭りなど行事食
- 手土産、贈り物など
有名な桜餅
参考資料
桜餅のレビュー
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