由来・歴史
黄身しぐれの由来は、晩秋から初冬にかけて起こる「時雨(しぐれ)」にあります。
時雨は、雨が降っては止んでを繰り返す不安定な天候ですが、その様子に見立てたことから「黄身しぐれ(黄身時雨)」と名付けられました。
他方、黄身しぐれの起源は定かではありません。織田信長や豊臣秀吉が活躍した安土桃山時代に朝鮮から伝来したとする説が有力ですが、証拠づける文献は少なく謎に包まれています。
ただ、黄身しぐれと材料や製法が類似する「桃山」を調べてみると、黄身しぐれの生い立ちが見えてくるような気がします。
桃山は、現代に入って完成したといわれる和菓子の一つです。白あん、卵黄、砂糖を使用し、これにみじん粉や葛粉を練り混ぜて焼き上げて作ります。白あんと黄身のコラボや、みじん粉や葛粉など穀粉を混ぜるところが黄身しぐれの作り方と似ています。
黄身しぐれは桃山の派生品か、あるいは何らかのつながりがあったのかもしれません。
さて、起源がわからなくても、黄身しぐれは現に日本の和菓子文化にどっしりと根を下ろし定着しています。
いつの段階かはわかりませんが、さほど抵抗のない形で自然と日本の食文化に溶け込んだのでしょう。
現在の黄身しぐれは味の種類も飛躍的にふえ、好みに合わせて選べる和菓子になりました。
抹茶しぐれ、栗しぐれ、芋しぐれ、コーヒー味、チョコレート味など、まるで時雨模様のように変幻自在です。
特徴
黄身しぐれは、白あんに黄身と上新粉や上用粉などを混ぜて生地を作り、中餡を包んで蒸し上げる和菓子です。
蒸したさい、表面にできる”ひび割れ模様”を最大の特徴とし、鮮烈ながらも優雅なデザインが初冬にあらわれる時雨(しぐれ)を彷彿とするところから、「黄身時雨」または「黄味時雨」とも呼ばれます。
ひび割れは、単にできればいいというものではありません。繊細かつ美しくできるのが理想とされ、見た目よく仕上げるためには、材料の配合や餡の加熱具合をうまく調整することが必要です。
黄身しぐれの味わいは、ほろほろと崩れるような食感に特徴があります。はじめはふんわりしっとりした歯ざわりですが、口の中で豊かな風味を残しつつとろけていき、はかなく崩れ去っていきます。奇しくも、短時間で雨が降ったりやんだりする時雨模様とマッチする味わいです。
外観の色は、白あんと黄身の融合によるパステルな薄卵色が定番となっています。ただ、フレーバーや着色料を使って割れ目に思い思いの色を入れることが可能です。抹茶カラー(抹茶しぐれ)や桜待ちのピンク、着色せず自然に中あんがのぞき見えるようにしたものもあります。
あらためて、黄身しぐれの特色は皮の表面にできる「亀裂」です。料理によっては非とされるひび割れをあえてシンボルとするところに、黄身しぐれの大胆な魅力があります。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 蒸し物 |
主な原材料 | 白あん、黄身、上新粉、上用粉など |
利用シーン
黄身しぐれは上品でほどよい甘さが特徴です。日本茶はもちろんコーヒーにもマッチします。由来からすると晩秋~初冬にかけて食べるのがベストですが、春先のお菓子として販売される「桜しぐれ」も存在するなど、現在は季節は関係ありません。オールシーズン対応です。
- おやつ、茶請け
- 手土産、贈り物、お祝い
- 法要、お供え
有名な黄身しぐれ
参考資料
黄身しぐれのレビュー
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