由来・歴史
ちまきの歴史は、平安時代にはじまります。
古来より中国に存在した、もち米を葉っぱで包んだ供物の菓子が端午の節句の風習とともに伝来し、日本ちまきがスタートしました。
平安中期に成立した「延喜式「と「倭名類聚抄」には、それぞれ粽(ちまき)の名があらわれており、レシピも記載されています。
ちまきの形は三角や筒状の円錐形が定番ですが、これはちまきを毒蛇に見立てたことに由来し、それを食べることで毒を消す、転じて無病息災を願うようになったといわれます。
室町・安土桃山時代には、ちまきは武士の携帯食としても活躍。戦いの折々に食され、兵士たちの腹ごしらえに貢献したようです。
ただし、ちまきが躍進をとげるのは江戸時代に入ってからです。
幕府によって端午の節句(5月5日)が「五節句」の一つに定められたことで、行事食としてのちまきの存在感が高まり、大衆への浸透がすすみました。
1679年(延宝7年)3月刊行の「難波雀」には、“ちまきや”の文字が認められ、ちまきを販売する店があったこともわかります。
後年、関東での端午の節句の行事食は柏餅に変わりますが、ちまき自体の人気は衰えることなく、定番おやつの一つに定着しました。
そして現在のちまきは、三角ちまき、笹ちまき、団子ちまき、中華ちまき、黒豚ちまきとメニューを拡大しており、なおも育ちざかりの人気和菓子です。
特徴
ちまきは、もち米や葛粉で作った餅を三角形や円錐型に整え、笹の葉でくるんで食べる日本古来からの和菓子です。
同じく葉で餠をくるむ柏餅と合わせて、5月5日の端午の節句に食べる行事食として用いられています。
ちまきの最大の特徴は、餠を笹の葉で巻くという自然素材の風合いをいかしたスタイルです。見た目はシンプルですが、葉を外装とすることで、不思議と自然の豊かさが増し加えられていきます。
味わいは、笹の葉の香り、もちもちした餅の食感、中餡の甘みなどが一般的な魅力です。ただし、ちまきは地域ごとに材料が異なるため、使用する葉の違いも含めてさまざまな味わい・レシピのちまきがあります。
例えば、ちまきの中身は東日本・北日本では「おこわ」ですが、西日本は「筒状のお団子」です。おこわの具材も多種多様で、豚肉、鶏肉、中華風の中華ちまきや、トロを入れたトロちまきもあります。
ちまきは、各地の名物を盛り込んだ幅広い種類のメニューが作られているため、形式的にはシンプルですが、実際には(葉を開けば)多様性に富んだ和菓子です。
利用する葉も、ササ類だけでなく、ススキやヨシ、タケ類、マコモ、トチノキ、ゲットウ、ナラガシワと選択肢にあふれています。
最終的にちまきの正体は、シンプル&素朴と見せかけて中身は奥ゆかしい、日本人のような和菓子です。
つつましいその姿には、一切の不足も余分もありません。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 蒸し物 |
主な原材料 | もち米・うるち米・米粉など |
利用シーン
ちまきの中身は団子やおこわです。腹持ちがよいため、小腹を満たす間食としても利用できます。関西では今も端午の節句に供えられており、行事食としても映えるお菓子です。味の種類も豊富なため、贈答品とする場合は相手の好みに合わせやすいのも利点です。
- おやつ、お茶請け、間食
- 行事食(端午の節句)
- 手土産、ギフト
- 法要、お供え
有名なちまき
参考資料
ちまきのレビュー
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