由来・歴史
安倍川餅の由来は、安倍川近辺で作られていた”きな粉餅″にあります。
現在の安倍川餅はきな粉餅・あんこ餅のペアですが、最初はきな粉餅だけの和菓子でした。
一方、「安倍川」は、静岡市西部から南の駿河湾に注ぐ河川です。現在も当地を潤している歴史ある川の名前が、そのまま安倍川餅の名称の由来にもなりました。
名付け親は徳川家康だったとする説もありますが、実在の地名がストレートに名称となっていることから、命名は誰となく自然発生的だったと考えていいでしょう。
そんな安倍川餅が名物菓子の仲間入りを果たしたのは、江戸時代です。
当時の東海道のルート上にあった安倍川の近くで軒を連ねていた安倍川餅の店が、商人や旅人などの間で大変な人気となったのです。人々は、美味しい安倍川餅を食べて旅の疲れを癒すとともに、安倍川餅の知名度を押し上げることにも貢献しました。
安倍川餅の名は、「東海道中膝栗毛」(1802年出版/十返舎一九作)など著名な文献を通しても伝えられており、しかも、当時からすでに大衆菓子として定着していたこともうかがえます。
明治以降は、戦争などで物資が不足し生産が途絶えるなど、受難の時代もありましたが、見事に乗り越えて復活しました。
安倍川餅は現在も、古と変わらぬ美しさと雄大さを保ち続ける安倍川のように、伝統の美味しさと人気を保ち続けています。
特徴
安倍川餅は、つきたてのお餅や切り餅に砂糖を加えたきな粉をまぶしたり、あんこを包んだりして作る静岡名物の餅菓子です。
元々は、きな粉だけをトッピングの材料に用いていましたが、現在は、お餅をあんこで包んだものと、きな粉をまぶしたものを、セットで提供するのが一般的となっています。
そんな安倍川餅の魅力の一つは、風味豊かな味わいです。餅菓子ならではの柔らかさとコシのあるもちもち食感をはじめ、ふくよかなきな粉の香り、餡子の優しい甘さなど、安倍川ならではの美食の世界を展開しています。
そのクセになる美味しさは、一般の方はもちろん、皇族の方々や子どもたちからの評判も良好で、地域によっては学校給食のメニューに加えられるほどです。
安倍川餅の見た目は、丸くもっちりとした形が定番です。シンプルな材料や作り方に合わせて外観も素朴に…といきたいところですが、実際には、砂金の煌めき(きらめき)を思わせるようなきな粉の美しさや、あんこ餅の凛として堂々たる佇まいなど、素朴さの中にも独特の風情とオーラをたたえています。
また、安倍川餅は地域特性があらわれやすいのも特徴の一つ。レシピは地域や家庭によって違いがあり、地域と家庭の数だけ、さまざまな味わいの安倍川餅が作られています。
伝統ある名物料理でありながら、閉鎖的ではない、誰にでも開かれた庶民性も安倍川餅ならではの魅力です。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 餅物 |
主な原材料 | 餅米・砂糖・きな粉 |
利用シーン
安倍川餅は、時季を問わず一年を通して食されています。出来立てを店で食べたり、家庭で作っておやつとして食べたりするのがメインですが、土産用に販売されている安倍川餅の場合は、日持ちがする工夫がされているため、お土産としての利用も可能です。
- おやつ、お茶請け
- 行事食、法要、お供え(お盆)
- お土産
- 学校給食
有名な安倍川餅
参考資料
安倍川餅のレビュー
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