由来・歴史
大福の歴史は、室町時代後期にはじまります。
当時、鶉(うずら)の卵に似た「うずら餅」が作られており、これが後の大福の起源になったと言われています。ただし、うずら餅の中身は塩餡が使われていたため、甘味には乏しかったようです。
一方、大福の名前の由来は、うずら餅の呼び名として使われた「大腹持ち」「腹太餅」が変化したものと考えられています。うずら餅は腹持ちが良かったため、先のように呼ばれていました。それをもっと縁起の良い名前にするため、「大福」の文字が採用されたとする説が有力です。
大福が歴史的転換点をむかえるのは江戸時代中期。
「宝暦現来集」(1831年)には、1771年(明和8年)、江戸の小石川に住んでいた「おたま」という一人の未亡人が、砂糖餡を入れた小ぶりの「おた福餅」を開発し江戸で売り歩いていたという記述があります。これが現在の甘味豊かな大福の走りです。
時あたかも、江戸では上菓子が大流行。饅頭、羊羹などさまざまな種類の和菓子が庶民の味覚を楽しませていた時期であり、おたまさんはこの時流をしっかりとらえ、次々におた福餅を売り出しては大好評を得て、甘くて美味しい大福の普及に貢献しました。
今では色も形も味もさまざまな種類の大福を楽しめるようになりましたが、その礎を築いたのは、なんと一人のやまとなでしこだったのです。
おたまさんの生活は苦しかったようですが、見事、災い転じて「大福」となりました。
特徴
大福は、生菓子の餅物に属する定番人気の和菓子です。
米粉・小豆・砂糖・水飴といった最小限の材料を使用し、もち米で作った皮で中身を包むシンプルレシピで作ります。
見た目は、素朴で丸い形が特徴的。鮮烈なインパクトや派手な装飾性はありませんが、角のない柔らかなフォルムには、ほのぼのとした雰囲気と心温まる安心感があります。
一方、大福の味わいはバリエーションが活発です。
昔ながらの豆大福や草大福はもちろん、いちご・よもぎ・黒米・栗・チョコ・クリームチーズ・クリームソーダなど「なんでもござれ」と言わんばかりに、多種多様な風味と味わいの大福が提供され人気を博しています。
定番は上品な餡の甘い風味と、弾力・粘りある餅の心地よい食感ですが、材料やフレーバー次第でいくつもの味わいを楽しめるのが大福の特徴の一つです。
そしてここが重要なチェックポイント。
大福の最大の持ち味は、あらゆるものを無条件に受け入れる「おおらかさ」です。
餡もいちごもクリームも抹茶も、キャラメルでさえ… 大福にかかれば即座に包み込んで優れた一品に仕上がります。
かつ材料はシンプルで作り方は簡単、価格的にも安価で、スーパー・コンビニなどで入手もしやすい。
それでいてバリエーションが豊富で多彩な味を満喫できる!
大福は文字通り、大きな福をもたらす日本最高の和菓子の一つです。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 餅物 |
主な原材料 | 餅米・あずき餡 |
利用シーン
大福は、その日作ってその日に食べる朝生菓子です。作るのに時間がかからないため、幅広いシーンに即応しやすいのが強み。さまざまな用途で機動的に活用できます。
- おやつ、お茶請け、デザート
- 手土産、お礼、お返し
- お祝い、記念品、お誕生日、長寿祝い
- 法事、法要、お供え
- ギフト、お中元、お歳暮
- スポーツでの栄養補給など
代表銘菓
参考資料
- 株式会社 石崎商店|大福もちの由来
- 奥深い和菓子の味わい【PDF】
- 食文化の研究-菓子の歴史とあゆみについて【PDF】
- 事典 和菓子の世界(中山圭子著)
大福のレビュー
歴史のある商品や、有名または知る人ぞ知る商品を厳選してレビューしています。
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