由来・歴史
花見団子の由来は諸説ありますが、一説では豊臣秀吉が活躍した安土桃山時代です。
天下をとった秀吉は、京の醍醐寺で桜の季節に多くの客を招き、盛大なお茶会を開きました。
花見団子はその際に出された茶菓子の一つだったと見られています。
お茶会に出されたお菓子は多種多様でしたが、その中で後に主流となるのが三色団子、すなわち花見団子でした。
一方、花見団子の存在感が際立ってくるのは江戸時代に入ってからです。
江戸中期の「槐記」(1724年)には「青串団子三つ黄白赤」との記述があり、茶会で三色団子が用いられていたことがわかります。
“花より団子”の慣用句にもあるとおり、花をめでるより団子を食べるほうが先決だ!と思わせる美味しさが、花見団子にはあったのです。
また、作りやすくて食べやすい手軽さも、花見団子を花見菓子の定番に押し上げる要因となったでしょう。
こうして安土桃山に生まれた花見団子は、お花見文化とお茶文化に育まれて成長し、いつしか花見菓子の定番の地位を確立し現在に至っています。
毎年、花見の時期が来ると、各地域の菓子店でさまざまな色合い・味わいの花見団子が売り出され、花見客がこぞって買いに来る伝統文化が揺るぎなく継承されてきました。
そして今も花見団子は、桜の花に負けない華やかさで、人々に安らかないこいの場を提供しています。
特徴
花見団子は、春の桜のお花見でお茶とともに食される定番の和菓子です。
ピンク、白、緑と三色団子の生地をそれぞれ作り、お湯で5分程度茹でてから冷水で冷まし、竹串に刺して作ります。
生地の素材は、上新粉や白玉粉が定番です。いずれも米粉が原料で、日本人に適した味わいと食感を提供してくれます。
ただ、花見団子に向いているのは、上新粉だといわれます。上新粉の団子はしっかりとした歯ごたえがあり、より弾力性のあるモチモチ食感が楽しめるからです。
さらに、花見団子は中にあんこを入れたり、たれをかけたりしないのも特徴で、素材の旨味をダイレクトに味わえます。
一方、見た目は3色トリオの色鮮やかさが目を引いて離しません。
配列は上からピンク・白・緑とするのが王道ですが、これは春になって雪(白)が溶け、下から新芽(緑)が芽吹いて、待望の桜の花(ピンク)を咲かせるという、季節物語を演出しています。
もっとも、花見団子は配色が華やかとはいえ、過度な装飾はなく、むしろ自然の情景をそのままデザインに落とし込んだような、シンプルな優美さが魅力です。
シルエットも素朴な球形で、手遊びのようにラフな佇まいからは、力みのないリラックスした感じが伝わってきます。
それでも春の桜のお花見で三色団子を食べるとき、実体以上に華やかに見えるところに花見団子の不思議さがあります。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
---|---|
分類(製法) | 蒸し物、餅物 |
主な原材料 | 上新粉、白玉粉 |
利用シーン
花見団子が活躍するシーンは、名前のとおり花見の席が定番です。昔と比べて存在感は低下していますが、時期が来ると、今でも多くの花見客が菓子店に花見団子を買いにやってきます。おやつ、お茶請けなど普段使いもOKです。
- お花見(サクラ、ツツジ等)
- おやつ、お茶請け、来客用菓子
- 手土産、プチギフト
- 法要、お供え
有名な花見団子
参考資料
- お花見団子の三色の意味は?|一般社団法人 日本和食卓文化協会
- 「花より団子」 とツツジの花見【PDF】
- 美しい和菓子の図鑑(青木直己 監修)