かるかんの由来・歴史や特徴

かるかんのイラスト(和菓子の魅力)
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由来・歴史

かるかんの名が歴史に初めて登場するのは、江戸中期(1699年)です。

薩摩藩島津家に伝わる献立表「御献立留」に、20代当主綱貴の誕生日に「軽羹」(かるかん)が供されたことの記述があり、これが、かるかんが文献に登場する最古の記録といわれています。

漢字表記で「軽羹」とする名称の由来は、‶軽い羊羹″とする説が有力です。いかにも、かるかんは蒸した後の仕上がりがふわりと軽くなるため、さもありなんという感じですが、確かなことは分かっていません。

その後も、かるかんの名は前出の御献立留にふたたび記録(1716年)され、豊後岡藩の菓子値段帳(1738年)、山形鶴岡の菓子値段帳(1778年)など諸国の文献にも現れるようになり、時代が深まるにつれて露出が増えていきます。

他方、かるかんの店として、最初に名を挙げたのは「明石屋」(1854年創業)です。江戸で菓子職人をしていた播州明石出身の八島六兵衛が、28代薩摩藩主の島津斉彬に鹿児島へ招かれ、当地で創業。現在も営業を続ける明石屋と、鹿児島銘菓・かるかんブランドの礎となりました。

もっとも、江戸期までのかるかんは、殿様などに供する「献上菓子」が主な用途であり、値段も高くて庶民が口にする機会は少なかったと思われます。

明治期に入り砂糖が安く入手できるようになってから、かるかんは高級菓子から庶民の和菓子へと生まれ変わりました。

特徴

かるかんは、すりおろした山芋に上新粉やかるかん粉、砂糖、卵白等の材料を加えて蒸して作る、鹿児島名物の和菓子です。

見た目は、羊羹のような長四角型と饅頭のような丸型の2系統。長四角型は中にあんこを入れないプレーンタイプ、丸型は中にあんこが入った「かるかん饅頭」として知られています。

かるかん饅頭は、一般的な饅頭のよりもややシャープな形状が特徴です。カラーは純白が定番ですが、ピンクや抹茶もあります。

外観もさることながら、かるかんの魅力は、自然素材が生み出す豊かな風味です。

とりわけ、山芋ならではの粘りと香りが好ましく、スポンジのようなしっとりもっちりの食感や、くどくない上品な甘さとともに、ナチュラルな蒸し菓子の美味しさを満喫できます。

また、水はけのよい、九州南部のシラス台地で育った自然薯(山地に自生する天然の山芋)を主原料とする場合、栽培した山芋と比べてさらに粘り気が強くて風味も良好。火山噴出物からなるシラス台地が抱く豊富なミネラルにも恵まれ、栄養面でも優等生です。

飾り気は少ないですが、一口食べるとたちまち自然の味と香りのよさに心を打たれ、ことさらに見た目をアピールする必要のない和菓子であることが分かります。

外見はシンプルでも中身は奥深い… そんな粋に外したギャップもかるかんの美点といえるでしょう。

分類や原材料

分類(水分量)生菓子
分類(製法)蒸し物
主な原材料砂糖、かるかん粉、山芋

利用シーン

かるかんは外観に癖がなく、美味しくて、栄養価にも優れるため多方面に活躍します。鹿児島土産や冠婚葬祭に使われることが多いですが、おやつ、間食など日常シーンにもフィット。ミネラル豊富な自然薯で栄養補給するのも良いでしょう。

  • 冠婚葬祭、法事、法要
  • おやつ、デザート、茶請け
  • お土産、ギフト、贈答菓子
  • 運動中のエネルギー補給

有名なかるかん

  • 明石屋のかるかん
  • 徳重製菓とらやのかるかん
  • 薩摩蒸氣屋のかるかん

参考資料

かるかんのレビュー

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