由来・歴史
柏餅(かしわもち)は、端午の節句など古くから行われている祭事に由来しています。
端午の節句は奈良時代から続く災厄払いの儀式で、現在は柏餅が多く食べられる季節の行事として有名です。他にも、田植え、お盆、七夕、八朔といった伝統祭事の際にも、柏餅は各家庭で作られ食されてきました。
そもそも柏の葉で餠を巻いたのは、新芽が出るまで古い葉が落ちない柏の葉の特性を、「家系が途絶えない」という縁起に結び付けたためといわれています。
さらに、古くから木の葉はすべて柏であるという言い伝えがあり、葉で餠を包めばどれも柏餅と呼んでも問題がないとする文献(世事百談・1844年刊)もあり、これは、柏餅が葉で挟んだ餅の総称にふさわしく、その歴史が相当に古いことを暗示しています。
一方、柏餅が大衆和菓子となるのは、江戸中期以降です。
江戸の風俗を記録した「続飛鳥川」(江戸末期刊)は、宝暦年間(1751~64)に下谷(現東京台東区)で柏餅の販売が始まったことを伝えているほか、前出の世事百談も、江戸末期に柏餅を贈り合う習慣が存在したことを記しています。
こうして、柏餅は大衆文化に根をおろし、日に月に年にと普及して、全国へ広がりポピュラーな和菓子に成長しました。
現在は各地域の郷土食にもなった柏餅ですが、大衆化してからも、行事食としての「神聖意識」は継承されています。
特徴
柏餅は、米粉を水や湯でこね団子状の生地に餡を包み、柏の葉で挟んで蒸して作る餅菓子です。
端午の節句に食される行事食ですが、全国各地で昔から親しまれている大衆和菓子でもあります。
柏餅の最大の特徴は、餅に巻く柏の葉です。
食べるとき、葉っぱをはがしますが、その際、ほのかな甘い香りを漂わせ、餅の旨味を引き出してくれるのです。
餅自体の味は普遍的ですが、柏の葉を由来とする独特の香りとフィーリングは、柏餅でなければ味わえません。
一方、柏餅の葉っぱには、緑と茶色の2種類があります。葉の色がなぜ2つあるのかと思いますが、種明かしは簡単です。
端午の節句を6月に祝った江戸時代(旧暦=1年が354日)には緑の葉を使いましたが、明治時代に新暦(1年が365日)が導入され端午の節句が5月に行われるようになると、茶色の葉が使われるようになりました。
5月は柏の葉が大きく育っていないため餅を包むことができず、やむなく前年の葉を保存して翌年に使用したのです。その際、長期保存のため葉を蒸して乾燥した結果、茶色の葉が存在するようになりました。
現在は真空技術が発達し、前年の葉でも緑のまま保存して使用できますが、風情豊かな茶色タイプの人気も高いため、あえて茶色を用いるケースも多いということです。
ただ、緑でも茶色でも、香りを楽しみながら味わえる、柏餅の魅力は変わりません。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 餅物 |
主な原材料 | 米粉・小豆餡・柏の葉 |
利用シーン
柏餅は年中行事の代表格ですから、端午の節句(こどもの日)や盆、七夕、八朔など行事食には最適です。ただ、時期(4月〜6月)を過ぎてもスーパーやコンビニなどで年中販売されているため、日常使いにも対応します。
- 端午の節句、七夕、八朔など行事食
- おやつ、お茶請け、デザート
- 手土産、お見舞い、贈答用
- 家庭料理
有名な柏餅
参考資料
- 柏餅 山口県|うちの郷土料理:農林水産省
- かしわ餅 島根県|うちの郷土料理:農林水産省
- 次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理 中国・四国支部 山口県の柏餅
- 江戸食文化紀行-江戸の美味単包-no.132「粽と柏餅」
柏餅のレビュー
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