水羊羹の由来・歴史や特徴

水羊羹のイラスト(和菓子の魅力)
目次

由来・歴史

水羊羹の由来は、中国伝来の「点心」にあります。

点心は鎌倉〜室町時代の中世、中国に留学した禅僧によって伝えられた、中国古来からの軽食文化です。

点心のメニューの一つに“羹(あつもの)”と呼ばれる羊の肉を用いたスープがあり、これを元に蒸し羊羹、練り羊羹、水羊羹が作られました。

水羊羹が和菓子として世に出たのは、江戸時代後期(1750年〜1867年頃)です。

当時の加賀藩の儒者、金子鶴村による「鶴村日記」(1807年〜1838年)には、“水やうかん(水羊羹)”の名があらわれています。また、1865年頃には江戸の菓子屋「清寿軒」で水羊羹が作られたとも伝えられています。

一方、初期の水羊羹は今日とは異なる蒸し羊羹のような趣きだったようです。蒸し羊羹は小麦粉や葛粉を蒸して固めて作った羊羹の元祖ですが、水羊羹の原型はこれにならって作られたと思われます。

その後、時代がくだるにつれて徐々に独自性があらわれ、穀粉ではなく寒天を使って作られるようになり、今日の水羊羹のスタイルが完成しました。

また、水羊羹は今でこそ夏の風物詩ですが、本来は日持ちが悪いため冬の食べ物として、もっぱらおせち料理の菓子として冬季に作られていたことは意外に知られていない事実です。

後年、冷蔵技術が向上し、季節を問わず作れるようになったため、今の水羊羹は夏冬いつでも好きなタイミングで食べられます。

特徴

水羊羹は寒天と小豆あんを用いて作る、見た目涼やかな夏の季節和菓子です。

粉寒天や糸寒天にこしあんと砂糖を加え、煮詰めながら練り混ぜて、沸騰したら型に入れて冷やし固めます。整形し固まったら型から取り出し、任意の形に切って完成です。

水羊羹の形状は型にもよりますが、直方体やサイコロ状、円柱形、球形もあります。盛り付けは風流な竹の筒に入れるのが伝統ですが、最近は竹型カップや竹を模した容器、ガラス皿に盛って食べるのも定番です。

一口食べると、柔らかでみずみずしく爽やかな甘さが広がります。なめらかな口あたりも良好で、つるんとしたゼリーのような食感とのど越しがなんともいえません。

水羊羹は一般的な練り羊羹とは違い、水分が多くて砂糖は少なめなため甘ったらしくなくて、粘度もおさえぎみで味わいが軽くさっぱりしています。

ベースは練り羊羹で寒天量を減らし、水分量を増やしたものが水羊羹です。

水羊羹はその特性から夏限定と思われがちですが、実際は冬の風物詩として食べられている地域もあります。

例えば、福井県の名物「でっち羊かん」や大阪の「丁稚ようかん」などは冬の水羊羹として有名で、冬季に食べられています。

水羊羹は夏は涼菓子として暑さをやわらげ、冬はこたつに入りながら食べても様になる、夏冬兼用の得がたい存在です。

形式ばった装いですが、気取る必要はありません。

分類や原材料

分類(水分量)生菓子
分類(製法)流し物
主な原材料寒天、小豆あん、砂糖

利用シーン

水羊羹をおいしく食べる方法は作りたて(朝生)を食べることです。冷蔵・保存技術の向上である程度日持ちしますが、作ったその日のうちに食べるのが最上級です。場所は自由ですが、静かな茶室で食べると雰囲気が増します。もちろん自宅で味わうのもOKです。

  • おやつ、茶請け
  • 手土産、お中元、夏ギフト
  • お祝い、お返し、記念日

有名な水羊羹

  • 福井県のでっち羊かん

参考資料

水羊羹のレビュー

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