由来・歴史
若鮎(わかあゆ)の由来には諸説ありますが、一説には「調布」にルーツがあるといわれています。
ここでいう調布は、地名(東京都調布市)ではなく、岡山県の銘菓・調布です。
和菓子の調布は江戸時代に京都の菓子職人によって作られましたが、カステラ生地に求肥を包んで食べるレシピが、若鮎の作り方にとてもよく似ています。現在の若鮎は、この調布をベースに考案されたようです。
ただ、調布の形状は長方形であり、魚の鮎のカタチはしていません。若い鮎を模した若鮎が誕生するのは調布以降です。
若い鮎をモチーフにしたデザインの発想はどこからきたのでしょうか。ミステリーの封印を解くカギは、若鮎の産地となった京都・岐阜における共通の風物詩「鵜飼(うかい)」にあります。
鵜飼は、水鳥の鵜を使って鮎などの魚をとる伝統漁法です。京都の大堰川や岐阜の長良川では古代から盛んに鵜飼が行われてきたことが伝えられています。そして奇しくも、京都・岐阜は若鮎の名産地です。
つまり、若鮎の原型である調布が、鵜飼が盛んな地域にそれぞれ伝えられ、デザインを鮎のカタチに改良して一新し、和菓子・若鮎が誕生したと見られています。
詳細ないきさつは分かりませんが、実際に鵜飼が盛んな地域で同時に若鮎も名物となっているのは確かです。
若鮎は、長方形から若い鮎の姿に変化した、調布の分身だった可能性があります。
特徴
若鮎は、ふんわり焼き上げたカステラ生地に求肥を包み、清流の鮎を模して作った夏の季節和菓子です。
夏の季語としても知られる、鮎の鵜飼が盛んな京都府や岐阜県の銘菓として知られています。
若鮎の一番の特徴は、鮎をデザインした涼やかな意匠です。若鮎は初夏の渓流を勢いよく遡行する文字通り若い鮎であり、その活きのいい泳ぎっぷりは、泳ぐというより楽しそうに踊っているようにも見え、全身が躍動感に満ちています。
そんなエネルギッシュな鮎を象った若鮎からは、カステラ生地の香ばしさや求肥の風味だけでなく、魚としての鮎の独特の香りまで伝わってきそうです。
一方、若鮎の基本的な材料やレシピはシンプルですが、店によってバリエーションがあります。カステラ生地を厚くしたり薄くしたり、求肥の量を調整したり、求肥の代わりに白あんを入れたものや、こしあん入りの若鮎もあります。
ネーミングも多彩です。基本名の若鮎のほか、鮎菓子、登り鮎、かつら鮎、稚鮎などの呼び名があります。
いずれにしても、若鮎は夏の暑さを乗り切るエネルギー源に適した和菓子です。
お菓子としての栄養はもちろん、実写版の若鮎をイメージしながら食べることで、甘美だけでなく活力と勇気が得られます。
なお、若鮎は夏限定の和菓子として知られていますが、地域によっては通年販売されています。
春夏秋冬、季節ごとに食べる若鮎も一興です。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 焼き物 |
主な原材料 | 求肥、小豆、砂糖 |
利用シーン
若鮎は魚の方も和菓子の方もどちらも夏の風物詩です。夏場の疲労回復のおやつとして、京都・岐阜のお土産として、お中元や贈答用にも利用できます。見ても食べても活力が湧いてくる若鮎は、運動時のエネルギー補給にも最適です。手作りもできます。
- おやつ、お茶請け
- お土産、贈答用
- お中元、夏ギフト
- 運動時のエネルギー補給
有名な若鮎
参考資料
- 美しい和菓子の図鑑(青木直己監修)
- 初夏の和菓子、若鮎に元気をもらおう! #和菓子女子の日記
- 玉井屋本舗「登り鮎」
若鮎のレビュー
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