由来・歴史
わらび餅の由来は、日本人が古代から親しんできた山菜類の「蕨」(わらび)にあります。
山菜わらびの歴史はとても古く、奈良時代末期に成立した「万葉集」には早くもその名が登場するほか、同時代の地誌である「風土記」にもわらびの話が記録されています。
ただ、当時のわらびは菓子の材料ではなく、煮物やお浸しなど一般的な料理の素材でした。
お菓子の「わらび餅」が歴史に登場するのは平安時代です。
第60代天皇、醍醐天皇(885~930)がわらび餅をこよなく愛し、「太夫」の称号を与えたとする口伝が残っており、そのいきさつが1642年(寛永19年)に書写された「大蔵虎明能狂言集」に記録されています。
さらに室町時代に入ると、茶の湯文化の発達によりわらび餅は飛躍的に洗練され、茶の子に用いられたことで改良が進み、京の都を中心に各地への普及にもつながりました。
江戸時代には原料不足で危機を迎えますが、わらび澱粉に「葛(くず)粉」を混ぜるなど代替素材が発明されたことで、思いがけなく、わらび以外の素材でわらび餅をつくる方法に道を開くこととなりました。
現在は素材の種類がさらに増えており、もはやわらびが無くても、わらび餅を安定して作ることが可能です。
逆に、本わらび餅粉(わらび澱粉100%)による「本格わらび餅」は希少性が高まり、松茸やトリュフのような高級食材としての地位を確立しています。
特徴
わらび餅は、わらび粉に水、砂糖などの材料を合わせて加熱しながら練り上げて作る、風味豊かな早春の餅菓子です。
ぷるんとした半透明の清涼感あふれる見た目や、モチモチ食感、さわやかな甘さ、なめらかな歯ざわり、喉ごしの良さなどに魅力があります。
トッピングはきな粉が定番ですが、黒蜜をかけたり、抹茶をふりかけたり種類が豊富です。
わらび餅の素材(生地)には、「わらび餅粉」と「本わらび餅粉」の2種類があります。
「わらび餅粉」は、蕨(わらび)の根から採ったデンプン粉に、さつま芋やじゃが芋のデンプン粉を混ぜ合わせたものです。わらび以外のデンプンを混ぜるのが特徴で、わらび粉だけで作ったわらび餅と比べて、調理時間が短く、値段も安くおさえられますが、お餅の伸びは少なくなります。色合いや見た目が白〜透明になるのは、この「わらび餅粉」の方です。
「本わらび餅粉」は、わらび澱粉のみを生地の材料としています。わらび澱粉は採取が大変で値段も高くなる高級素材ですが、お餅の伸びが良く、わらび粉本来の風味ととろける口溶け食感が楽しめます。外観は薄い褐色で、全体に黒ずんで見えるのがポイントです。
いずれの素材を用いても、爽やかな味わいと食感豊かなわらび餅の魅力は変わりません。ただし、わらび以外の素材を混ぜた一般的なわらび餅と、わらびだけを使用した本格的なわらび餅があることを知っておくと良いでしょう。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 蒸し物 |
主な原材料 | わらび粉・砂糖 |
利用シーン
生菓子のわらび餅は、できたてを食べるのが一番。店で食べるにせよ、自宅で作るにせよ、できたて30分以内が美味しく食べられる時間の目安です。自作の場合は、あんこを包んで水まんじゅうにしたり、クリームチーズを挟んだり、さまざまなアレンジが楽しめます。
- おやつ、お茶請け
- お中元、ギフト、手土産
- 法事、お供え物
有名なわらび餅
参考資料
わらび餅のレビュー
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