由来・歴史
あられ・おかきの由来は、奈良時代の神事に端を発しています。
当時、稲作文化はすでに中国から渡来を果たしており、日本の農民は五穀豊穣を願って神様にお米を供える儀式を行っていました。その際、供え物の米を焙って食することも習慣化しており、これがあられの起源になったといわれています。
上代の地誌書「山城風土記」には、あられ餅・玉あられの名称が登場しており、おそくとも平安時代にはあられの生産が始まっていたようです。
名前の由来は、それぞれ、空から降ってくる雨と雪が融合した「霰」(あられ)、もち米を欠き割ってつくった「おかき餅」(おかき)から来ていることは、大方の見方が一致しています。
菓子としての存在感が増してくるのは中世、近代に入ってから。
1587年(安土桃山)には、讃岐領主・生駒親正の姫君のお輿入れの際、百姓の一人がお祝いにあられを献上した話が伝えられているほか、1718年(江戸中期)に刊行した「御前菓子秘伝抄」にも、大唐米を用いたあられの話が記録されています。
江戸期を経て明治に入ると、米菓の需要が増したのに加え、機械化の導入であられの普及と大衆化は完全に定着。その後も綿々と歴史が受け継がれ今日に至っています。
あられ・おかきは、稲作の渡来によって種がまかれ、水稲耕作の発展とともに成長して結実した、米文化の申し子といえましょう。
特徴
あられ・おかきは、もち米を原料とする干菓子の一種です。
ともに長い歴史を持ち、せんべいや落雁と並んで長寿型の和菓子として知られています。
作り方は、蒸して搗(つ)いたもち米を型に入れて成型し、生地を小さく切り分け、火で炙って味付けする方法が一般的です。
形状は多様性に富んでおり、名前の由来でもある「霰」(あられ)の形をはじめ、小石のような武骨なスタイル、丸みを帯びたかわいいフォルム、配色がカラフルな「雛あられ」など、変幻自在のビジュアルです。
味付けは、王道の塩味、醤油味をはじめ、味噌、昆布、のり巻き、エビ、梅しそなど、さまざまな風味が楽しめます。
あられとおかきの違いは、サイズと生地の切り方です。ともに一口大ですが、あられは‶小さめに″、おかきは‶大きめに″裁断するのがポイント。
切る道具は、あられは包丁、おかきは槌(つち)を使用するものと従来は分けられていましたが、現在の製法には違いがありません。
いずれも硬いイメージがありますが、原料にもち米を使用するためふくらむ力が強く、外見に似合わずソフトでしなやかな食感が得られます。雪のような口どけ感も良好です。
一方、適度な硬さも備えており、歯ごたえはパリパリと痛快!硬いものを噛むことで脳が刺激され、消化吸収を良くする効果も期待できます。
あられ・おかきは、美味しくて、食べ応えがあって、ヘルシーな和菓子です。
分類や原材料
分類(水分量) | 干菓子 |
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分類(製法) | 焼き物 |
主な原材料 | もち米・砂糖・醤油・塩など |
利用シーン
味はもちろん見た目も種類が豊富なあられは、日常使いから行事食まで多様なシーンに対応します。海外の人へのお土産にもおすすめ。
- おやつ、お茶請け、お酒のおつまみ
- ギフト、お中元、お歳暮、お土産
- 慶事(結婚、出産、長寿、新築祝い等)
- 仏事(年忌法要、香典返し、お盆、お彼岸等)
- 年中行事、桃の節句(ひな祭り)
有名なあられ・おかき
参考資料
あられ・おかきのレビュー
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