寒氷の由来・歴史や特徴

寒氷のイラスト(和菓子の魅力)
目次

由来・歴史

寒氷(かんごおり)は、読んで字のごとく、冷たい「氷」に由来した和菓子です。

乾燥した表面の寒々とした感じや、シャリッとした食感が氷に似ていることから寒氷と名付けられたといわれています。

ただ、寒氷が和菓子としていつ発祥し、どのように発展したのか、詳しい歴史は分かっていません。

寒氷は茶会に用いる干菓子の一つとして知られることから、茶会の普及がすすんだ江戸時代に定着した可能性があります。

日本における茶道文化の黎明期は室町時代。成熟したのは桃山~江戸期にかけてです。そのため、寒氷の原型の誕生は早ければ室町期または江戸期、和菓子として大衆に根をおろしたのは明治以降でしょう。

いずれにしても寒氷は、茶道文化を背景に育ってきたお菓子であることは疑いようがありません。

茶道に用いる和菓子には主菓子(おもがし)と干菓子(ひがし)があり、半生菓子である寒氷は干菓子に属しています。干菓子には寒氷のほか落雁・煎餅・有平頭・州浜など、そうそうたる伝統和菓子の顔ぶれがそろい踏みです。

寒氷はその一つにラインナップされ、大事な茶請けの一つとして茶会を盛り上げあるいは花を添えてきました。伝統干菓子といわれる所以がここにあります。発祥は不明ながら、歴史の厚みがあるということです。

寒氷は現在もなお重要な茶菓子として活躍しています。特に薄茶を飲む前に食べる干菓子として欠かせない存在です。

特徴

寒氷は、名古屋銘菓として知られる寒天を用いた半生菓子です。

寒天と砂糖を煮溶かして練り合わせ、色付け・模様付けをしたあと型抜きをして、表面を乾かし干し固めて完成します。

寒氷は寒々とした語感とは裏腹に、見た目が可愛らしくて華やかです。

抜き型による形状は星形、花形、ハート形、サイコロ形、雪の結晶など多様性に満ちあふれ、色合いも薄青、薄紫、薄赤、琥珀色、エメラルドグリーン等々、パステルカラーを中心に色とりどりです。さしずめ、和菓子におけるカラフルな氷の美術館となっています。

寒氷の味わいは、外側はシャリッと中はしっとり。乾燥した表面と練りのある中身による「剛柔」の食感のコントラストが特色です。全体に強い甘みが支配しますが、単に甘ったるいのではなく、洗練されたきれいな後味が残ります。

風味のバリエーションも多彩です。寒天・砂糖をベースに小豆を加えた小豆風味、レモン・イチゴなどフルーツ、生姜、抹茶風味もあります。

寒氷は仕上げの際、特殊な技術をもって数日かけて乾燥させるため、製作に時間と手間のかかるお菓子です。値段も決して安くはありませんが、期待をはるかに超える価値を提供します。

「寒氷」といいながら、優しさと暖かみさえ感じる独特の味わいと四季折々の多様な見た目…

“乾いたお菓子”ですが、内容はこの上もなくみずみずしさと喜びにあふれた和菓子です。

分類や原材料

分類(水分量)半生菓子
分類(製法)流し物
主な原材料寒天・砂糖

利用シーン

寒氷は伝統的に茶菓子として用いるのが最適ですが、おやつ、間食など普段使いもOKです。合わせる飲み物はお茶だけでなく、コーヒーや紅茶ともよく合います。食べるだけでなく、雛菓子のように食卓を彩る装飾の効果も期待できるでしょう。

有名な寒氷

  • 茶会、茶請け
  • おやつ、間食、来客用菓子
  • 手土産、お礼、お見舞い
  • お祝い、贈り物、お供え

参考資料

寒氷のレビュー

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