桃山の由来・歴史や特徴

桃山のイラスト(和菓子の魅力)
目次

由来・歴史

桃山は、文字通り安土桃山時代に由来があります。

同時代に豊臣秀吉が京都に築いた桃山城(伏見城)の瓦模様、“五三の桐”の紋章にちなんで桃山と名付けられたといわれています。

五三の桐は名称のルーツとなっただけでなく、実際に生地の表面に型押しされ、桃山のシンボルマークとなりました。

一方、和菓子としての桃山が定着したのは、江戸時代以降と見られています。明治32年に刊行された「東京風俗誌」には桃山の名前があるので、少なくとも明治時代には東京で作られていたのでしょう。

初期の桃山は保存食や携行食の用途が主であったため、外観は単調で、形状や模様も今ほど意匠性が高くなかったようです。

ただ、時代がくだるにつれて社会が安定し菓子文化の発展に合わせて、桃山の意匠性は飛躍的に高まりました。

デザインセンスが高まっただけでなく、焼型の技術が向上したことで、より繊細で美しい描出が可能となったのです。こうして桃山の外観は格段によくなり、美しさだけでなくバリエーションも拡大しました。

現在の桃山は、ファッションアイテムのように模様のデザインが多彩です。季節の草花から動物、魚、名産、干支、自然の風景まで、多様なデザインを配した桃山が作られています。

その華やかな見た目は、日本人だけでなく外国人をも魅了するといわれ、その意味では、桃山は国際的なお菓子に成長したといえるかもしれません。

桃山城は江戸初期に廃城となりましたが、和菓子の桃山は今も営々と歴史が受け継がれています。

特徴

桃山は、白あんに卵黄、砂糖、その他の材料を練り合わせた生地を型に入れ、オーブンで焼いて作るお菓子です。

特別な素材は使っていませんが、卵黄の風味がよく効いて、表面が香ばしく、白あんのしっとりした味わいと優しい甘さに魅力があります。

本来の桃山は中に何も入れませんが、最近は中あんを入れたものも多く出回っています。いずれもあんを主体にした桃山の生地は食感がソフトで味わい深く、口どけも良好です。

ただ、桃山の象徴的な魅力は模様のデザインです。焼型による成形パターンが多種多様で、有名な豊臣秀吉ゆかりの桃山城の瓦模様をはじめ、季節の花、干支、鯛、雪の結晶など、さまざまな意匠をこらしています。

形状は丸型、円盤型が多いですが、そら豆を模したような形もあります。色は卵色ほぼ一択といっていいでしょう。主材の一つである卵黄が作り出す美しい卵色こそが、桃山のシンボルカラーです。

一方、桃山は小麦粉を使用しないのも特徴といえます。焼き菓子といえばクッキーやカステラなど小麦粉を生地の材料に用いますが、桃山は小麦粉を使いません。

むしろ、あんそのものを生地にして焼く大胆なレシピであり、白あんが一人二役として皮も中身も演じます。

桃山は時に繊細、時に大胆、和菓子のような洋菓子のような…複合的な要素を備えたオリジナルのお菓子です。

分類や原材料

分類(水分量)半生菓子
分類(製法)焼き物
主な原材料白あん・砂糖・卵黄

利用シーン

桃山の見た目と風味はお茶請けにぴったりです。緑茶だけでなくコーヒーや紅茶にもよく合います。法事にも利用される機会が多く、法要の引菓子やお供え物などは格好の用途です。フレーバーの種類も意外に豊富なため、シーンに合わせて使い分けができます。

  • おやつ、茶菓子
  • お土産、御祝い、引出物
  • 法事、法要、お供え菓子

有名な桃山

参考資料

桃山のレビュー

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