由来・歴史
せんべいの歴史は、原料の小麦粉とお米が共存して発展した歴史です。
せんべい自体の由来は、飛鳥時代に中国から渡来した説や、平安時代に空海が唐から持ち帰った説など、諸説紛々としており、確かなことは分かっていません。
ただ、日本における初期のせんべいは米ではなく、小麦粉から作られていました。
平安時代中期に成立した辞書「和名類聚抄」では、油で小麦粉を煎る煎餅の解説がなされており、せんべいの原料に関する歴史において、小麦粉が米に先んじていたことが分かります。
その後、数百年の歳月を経て、うるち米を原料とする「塩せんべい」が歴史の表舞台に初登場。
江戸初期~幕末にかけて関東を中心に、米で作った生地に醤油を塗って焼き上げるせんべいが流行し、庶民のあいだで大人気となった話が伝えられています。
こうして、小麦粉と米を用いた風味の異なる2系統のせんべいが出そろい、それぞれ「辛いせんべい」と「甘いせんべい」の祖となりました。
現在も、“小麦粉せんべい”と“米せんべい”は共存関係にあり、片や「草加せんべい」(米)、片や「瓦せんべい」(小麦粉)といったぐあいに、各々、さまざまな名作を生みだしつつ発展を競い合っています。
時の移り変わりは、好みで選べる多種類のせんべいを私たちに与えてくれました。
特徴
せんべいは、干菓子に属する焼き物の一種です。
「焼き物」と言えば陶器ですが、材料を蒸して焼き固めたせんべいの形は、まさに陶器のお皿のたたずまいを彷彿とします。
一般的に丸い形状が多いですが、瓦のような曲線を描いたもの、三角形のおにぎり型、だるまの形をしたせんべいなどビジュアルは多種多様です。
味の種類は、2系統にわかれます。
有名な草加せんべいのように「米」を原料とするものと、これも有名な瓦せんべいのように「小麦粉」を原料とするものです。
米を使ったせんべいは、塩や醤油で味付けをすることが多く、塩味のしょっぱさや醤油の旨味、香ばしさ、バリっとした歯ごたえが絶妙です。
一方、小麦粉を原料とするせんべいは、卵や砂糖を材料に使用するため、ほのかな甘みを帯びるのが特徴で、別名、“甘味煎餅”とも呼ばれています。
製品の種類は他にも数多く存在しますが、基本的には米(多くはうるち米)と小麦粉の二頭体制です。言い換えれば、せんべいは、辛いせんべいと甘いせんべいの2種類が楽しめます。
さらに、和菓子のなかでは比較的日持ちのするものが多いことや、割ったり砕いたり使い勝手が良いこと、幅広い用途に使えるなど、シンプルながら利点が少なくありません。
全体的に和菓子の消費が減少傾向にあるなか、せんべいはよく健闘しているという話を聞きますが、それも十分にうなずける話です。
分類や原材料
分類(水分量) | 干菓子 |
---|---|
分類(製法) | 焼き物 |
主な原材料 | うるち米や小麦粉・醤油・塩・砂糖・のりなど |
利用シーン
せんべいは、分けたり、配ったりしやすいため、さまざまなシーン・用途に活用できます。シンプルで普遍的な味わいもさることながら、使い勝手の良さも強みの一つです。
- 日常使い、おやつ、お茶うけ
- おつまみ、トッピング
- 結婚式、出産の内祝い
- 入学式、成人式などお祝い事
- 仏事・法要(お供え物、香典返し)
- お土産、ギフト、イベント
有名なせんべい
- 草加煎餅(埼玉県草加市)
- 瓦せんべい(兵庫県神戸市、香川県高松市)
- 坂角総本舗「ゆかり」(愛知県)
*草加煎餅と瓦せんべいは、それぞれ同名で複数の和菓子店で販売されており1店に絞れないため、店名を掲載していません
参考資料
せんべいのレビュー
歴史のある商品や、有名または知る人ぞ知る商品を厳選してレビューしています。
→ トップページへ