由来・歴史
ういろうの由来は諸説ありますが、最も有名なのは外郎家による「薬のういろう」です。
時は室町時代の初期(1368年~)。元王朝の滅亡に際して、一人の中国人・陳延祐(陳宗敬)が日本に逃れてきました。
陳は筑前博多に住み着き、やがて帰化して日本人となり、姓名を「外郎」(ういろう)とし「陳外郎」と名乗ります。
外郎の字は、中国で薬の調達を命じられた役人の官職「礼部員外郎」に由来しますが、まさに陳は中国で礼部員外郎を務めた経歴があり、帰化後はその経験を活かして中国の薬を日本に伝えました。
その薬は「透頂香」(とうちんこう)、後に「薬のういろう」と呼ばれるようになり、2代目・陳宗奇の時代には薬だけでなくお菓子作りもはじめ、そのお菓子を薬の口直しとして添えて将軍に献上したところ、大変な評判となったことが伝えられています。
そう、この時の口直しのお菓子こそが、のちに日本の代表的な和菓子となる「ういろう」の原型です。
ういろうは、陳家(外郎家)が定住した京都から小田原へ、さらに江戸期に入ると名古屋、伊勢、山口など各地へと広がっていき、土地ごとに名物ういろうが作られるようになりました。
今や、ういろうは押しも押されぬ蒸し菓子の代表格。全国各地で販売され多くの人々に好んで食されています。
薬の口直しに添えられた名もなきお菓子から、指折りの和菓子ブランドへ…
華麗なるサクセスストーリーとはこのことです。
特徴
ういろうは、小田原、名古屋、山口、徳島、京都など日本各地で銘菓を生んでいる伝統的な蒸し菓子の一種です。
米粉や小麦粉を原材料として、砂糖、水、小豆あんなどを加えて蒸し上げる製法が一般的で、優しくて上品な甘みや風味、もっちりとした食感、心地よい口当たりなどに魅力があります。
ただし、「山口ういろう」のように主原料にわらび粉を用いたり、「阿波ういろう」では甘味に阿波和三盆を使用したりする方法もあるなど、産地によって材料や製法が異なっています。
ういろうは一見確立されたように見えて、実際には標準を定めるのが難しい和菓子です。米粉の風味を生かした白ういろうや、黒砂糖入りの黒ういろうはあまりにも有名ですが、他にも、あんこを使ったあんういろう、抹茶を使った茶ういろう、干し柿入りの柿入りういろう、ゆず入りういろう、コーヒーういろうまであるなど、味わいの多様性には限りがありません。
外観デザインも、「棹物」(さおもの)と呼ばれる羊羹のような四角い棒状の形が定番ですが、鏡餅のように丸くて平たい形や、団子状、三角形、花形のういろうもあるなど、色合いも含めて、練り切り顔負けの多彩な造形芸術の世界を演出しています。
地域で異なる製法や味わい、多種多様な見た目、諸説あるミステリアスな由来まで…
意外かもしれませんが、ういろうは、いろいろな意味で変化を楽しめる和菓子です。
分類や原材料
分類(水分量) | 生菓子 |
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分類(製法) | 蒸し物 |
主な原材料 | 米粉、わらび粉、小麦粉、砂糖 |
利用シーン
ういろうは美味しいだけでなく、見た目も高級感たっぷり。おやつなど日常使いに加えて、ギフトとしての利用価値も抜群です。センスの良い個包装をもって贈れば、喜ばれること間違いなしでしょう。生は日持ちが良くありませんが、日持ちする真空パックもあります。
- おやつ、お茶請け
- お土産、ギフト
- 内祝い、出産祝い
- 法事、御供、お礼
有名なういろう
- ういろうのういろう(神奈川県)
- 餅文総本店のういろう(愛知県)
- 青柳総本家のういろう(愛知県)
- 御堀堂のういろう(山口県)
ちなみに日本三大ういろうと呼ばれているのは、「名古屋ういろう」「山口ういろう」「阿波ういろう」です。
参考資料
ういろうのレビュー
歴史のある商品や、有名または知る人ぞ知る商品を厳選してレビューしています。
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