冬の和菓子には、新年を迎えるための行事菓子や祝い菓子などがあります。ぜんざい、花びら餅、福梅、いちご大福、うぐいす餅などがあります。
冬の和菓子は?
冬の季節は、寒気・寒風が支配的ですが、太平洋を中心に降水量が少なく晴天に恵まれることも少なくありません。冬の和菓子も同様に、陰と陽のコントラストが明快です。特色的なのは餅菓子の存在感。花びら餅、いちご大福、うぐいす餅、椿餅、切山椒など、いずれ劣らぬ個性的な餅菓子が揃い踏みです。一方で、「福梅」や「ぜんざい」など陰を担う和菓子もラインナップされています。
このページでは、冬の代表的な和菓子7選をピックアップ。各和菓子の特徴を解説していきます。
冬の和菓子一覧
ぜんざい
ぜんざいは、小豆に砂糖や塩を加えて炊き上げ、餠や白玉を添え、器によそって食べる冬の定番和菓子です。小豆雑煮とも呼ばれ、小豆本来のコクのある味わいと香りを堪能できるほか、食事をしたような満腹感が得られます。古代日本神話の宝庫、出雲地方に伝わる「神在祭」に供した「神在餅」(じんざいもち)に由来する神聖な和菓子です。
花びら餅
花びら餅は、京都を中心に全国各地で毎年お正月に食べられる餅菓子です。求肥に味噌あん・ごぼうを乗せ、二つ折りにして半月型に整えた華美な姿と独特の味わいに魅力があります。平安時代の宮中行事「歯固めの儀」で食された本膳料理を由来とし、のちに儀式をはなれて民間の和菓子として作られるようになり、今日に至っています。
福梅
福梅は、石川県金沢市で正月に食されている縁起菓子の一つです。梅の花を象った最中種にあんと水飴を詰め、皮の表面に砂糖をまぶして作ります。梅花型の華麗なデザインと素材をいかした伝統の味わいが特徴です。明治7年(1874年)、金沢で藩主庭園の「兼六園」が一般開放した際にふるまわれた祝菓子に由来しています。
いちご大福
いちご大福は、冬に多く出回る「苺」(いちご)を用いたフルーツ菓子の定番です。求肥のお餅にあんといちごを包んで作ります。安心感のある素朴な風貌と、甘み・酸味がほどよく溶け合う贅沢な味わいが魅力ポイントです。誕生は1980年代後半。詳細は不明ですが、一説によると、いちごのショートケーキを参考に作ったといわれています。
うぐいす餅
うぐいす餅は、冬から春にかけて食べられる餅菓子。うぐいすを模した生き生きとしたデザインや、あざやかなウグイス色など、ヴィジュアルの要素が際立ちます。豊臣秀吉がうぐいす餅と名付け、その後、お城を出てすぐの場所に開店した店で売られたことから、「御城之口餅」(おしろのくちもち)とも呼ばれるようになりました。
椿餅
椿餅は、道明寺粉を練って作ったお餅を椿の葉っぱで挟んで食べる餅菓子の一種。古くから、椿がピークを迎える冬〜早春にかけて食されてきました。もっちりした食感とあんこの甘み、椿の葉っぱが醸し出す艶やかな雰囲気が魅力ポイントです。中国伝来の唐菓子を由来とし、平安貴族で流行った蹴鞠(けまり)の際のおやつに用いられました。
切山椒
切山椒は、山形県や山梨県など各地で食されている冬の縁起菓子です。上新粉に山椒の汁または粉を混ぜて作った生地でお餅を作り、短冊形に切り分けます。山椒は古くから厄除けの効果が信じられてきたほか、現在も子孫繁栄など縁起のよい素材として用いられています。切山椒はそうした神聖なエッセンスを取り込んで開発した和菓子です。
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